朝日新聞 日曜インタビュー「議会の情報化に取り組む」 より 

------議長に就任してほぼ一年たった

 「議会と執行部は車の両論と言われているが、実際にそのような対等の立場になっているのだろうかと思う。また執行部はときに「議会対策」という言葉を使うが、議会が対策の対象になるようなことは本来あってはいけない。これらが議長としての認識の原点になっている。


------執行部の出した議案を議会が否決するのは極めてまれだ。チェック機能は働いているのか

 執行部が提案したものを頻繁に否定しても、本質を見失うだけだ。執行部だけでなく、議会にとっても誇るべきことではない。だから、各会派ごとの政策調整会と四つの常任理事会という議論する場が設けられている。「審議過程が見えない」という声があるかもしれないが、常任委員会は公開されている。チェック機能は働いていると言っていい。


------県民には議会の役割が見えにくいのではないか

 地方自治法に問題がないとは言えない。知事に対して専決処分権が与えられているし、議会を開く権限もある。地方分権でもっと議会に権限を与えるべきだ。議会も地方分権の受け皿の重要な一翼を担っていることがもっと認識されてよい。また、これまで議員がいくら一生懸命勉強し、アイデアを出しても、それを条例化してこなかった。いま、自分たちの手で条例化して実現していこうという機運が盛り上がっているので、頑張らなくてはいけない。


------「議会改革」を訴えているが、具体的にはどうするのか

 議会の権能を高めたい。そのために、まずは情報化だ。県議会独自のホームページを持ったり、議会の質問や討論の内容をデータベース化したりして、議会LANを作る。そのうえで全国の都道府県議長会を介して全国ネットを張れば、各県の議会事務局が大量の情報を共有することができる。議会で考えたものを議会で「製品」にする機会は増えるだろう。また議会が県民の注目を集める機会をたくさん作ることが大切だと思う。八月に開く「女性県議会」もその一端だ。


------議会の情報公開制度づくりが遅れている

 今委員会をつくって議論しており、今年中に結論が出ることを期待している。原則として秘密にすべきものはないし、公開は正しいことだ。情報公開からも議会改革のヒントが得られるはずだ。制度は、県の条約と同じようなものになるだろう。


------議員の定数を減らしたが、県民の代表者が少なくなることに批判がある

 議会の中でも四〇を維持するべきだという意見は少なくなかった。しかし、全国的な流れも考え、全議員それぞれ真剣に考えた末の結論だった。この苦心が執行部の行政改革に対して一つの指針となれば幸いだ。


------大きな懸案になっている妻木晩田遺跡群の保存問題に議会はどう取り組むか

 これまで常任委員会や会派ごとに現地を訪れている。六月定例議会で活発な論議の対象になるだろう。どういう形になるかわからないが、議会本来の姿を発揮できる場になるかもしれない。


------自民は議会内で二つの会派に別れたままだ。この状態をどう考えるか。

 普通の状態ではない。しかし議会で過半数を占める会派がなくなったこの三年間、一人ひとりの議員の主体性が重んじられる状況が生まれた。単なる徒労ではなかったと思う。「創造」と「自民」が元のさやに収まるのは、もちろん簡単ではない。この夏の参院選や来春の統一地方選など、外部の要因も影響を与えるだろう。